企業主導型保育園

現在の企業主導型保育園について、意見(ちょっと否定的…)をまとめてみました。興味のある方はご覧ください。

当事務所では、保育園の種類問わず開業全般のサポートをさせていただいております。その中で、企業主導型保育園のサポートも。

しかし、本音を言うと企業主導型保育園の開業サポートはあまり乗る気ではありません。やりたくない…というより、「やっても大丈夫ですか?」と心配してしまいます。

はっきり言えば、企業主導型保育園の将来性に不安がある…ということです。

どんな業種でもデメリットがあります。もちろん保育業にもデメリットがあり、更に細分化し保育園の種類毎のデメリットがあります。某〇〇総研…等、コンサルタント会社さんは「デメリット」の説明がなく、良い説明ばかり。

ってな事で、今回は、私個人の企業主導型保育の「デメリット」をまとめてみました。

1.制度上のイメージ

昔から保育業界は下記の2つに分類されてきました。分類というよりかはブランド?的なイメージです。

✓認可保育園
✓認可外保育園

最近では、待機児童問題もあり、行政も色んな制度の保育園を創設し現在に至っていますが、認可園、認可外は今も変わりません。

(1)認可園

認可=保育園ではありません。これは行政書士としての解説ですが、幼稚園も「認可」の分類に含まれます。この考え方でいくと、認可園は下記の施設です。

    • 認可保育園(20名以上)
    • 小規模認可園(19名以下、0歳児~2歳児)
    • 幼稚園
    • こども園(幼保連携型、保育所型、幼稚園型)

(2)認可外

ざっくり言えば、上記(1)の認可園以外の保育施設が「認可外施設」となります。そーすると、企業主導型保育も認可外保育園となります。

ゆえに、利用者の認可ブランドイメージがある限り、企業主導型保育=認可外のイメージは払拭できないと思います。しかし、内容、特に保育にかける費用「お金の面」では、認可園と同等の「助成」があるため、同等に近い保育の提供が可能でもあります。

2.「公定価格」と「助成金」

認可と認可外の違いはイメージだけではありません。運営費の名称でも異なります。

ザックリいえば、認可施設の運営費は「公定価格(委託費)」で運営し、認可外施設(認証、認定、企業主導型保育等)は「助成金」で運営します。

(1)公定価格とは

公定価格とは…

『政府が物価の統制のために指定した物品の最高販売価格』のことです。社会主義国家の計画経済の下で行われるものが代表的であるが、日本でも第二次世界大戦前後に実施されました。

ウィキペディア

簡単に言えば行政が物価の価格を決定し、決定した価格で販売等を行う事ですが、保育園の場合、児童一人あたりの保育単価を行政が定め、その定めた価格に基づいて事業者が保育園を運営する仕組みです。

ある意味当然です。保育園運営費は税金で賄っていますが、子どもに応じて単価が異なったら差別になります。統制する…という訳ですね。

※全ての地域の子どもが平等という訳ではありません。地域によって単価の差はあります。例えば、東京は単価が高いですが、地方は低いです。これは地域による物価変動によるものです。

(2)助成金とは

助成金とは、政府が私企業や個人などの民間部門に対して行う一方的な貨幣の給付です。『助成金』という漢字にも表れていますが「助ける」のが目的です。
助成金が活用される場面は景気が悪化している時や、一時期的に生活上困窮している方に支援する目的で「助成金」が活用されます。

ここで注意していただきたいのが助成金は「一時的」かつ行政機関による「一方的な支援」という部分です。更に踏み込んだことを言えば、行政機関が一方的に支給の有無、価格設定を決める事ができるのが「助成金」です。

何が言いたいかと言うと、助成金で運営している企業主導型保育は行政次第でどうにでもできるということです。行政次第と言ったら助成金も公定価格も同じでは?と思われますが、細かい部分で異なります。

例えば、仙台市の認可保育園では公定価格に基づく委託費と仙台市からの助成金で運営は成り立っています。委託費(公定価格)は国の事業なので、大きな変更等があれば国会等と通じて法律で定める事となります。

なぜ仙台市は助成金を支給しているかと言うと、委託費(公定価格)だけでは施設の運営が成り立たないから、さらに仙台市の税金で保育施設に助成するという趣旨で助成金を交付しています。

ということは、委託費(公定価格)だけで運営が可能となれば、仙台市は助成金の交付または価格の見直しする事ができます。ここが助成金の怖いところです。

3.企業主導型保育の制度上の欠点

企業主導型保育はメリットもデメリットもありますが、デメリットはやはり入所対象児童の制限です。保護者の子どもを預けるニーズは大まか下記の順序です。

①幼稚園・保育園(認可)・こども園へ入所(入園)
※入所が不可となれば…


②認可外保育施設等

②に企業主導型保育施設も含まれます。大半の認可外施設は7月~10月頃まで定員割れ(特に0歳児)が生じているかと思います。

ここで重要なのが、企業主導型保育の制限。契約企業のお子さんの定員枠を確保し続ける点です。定員を空けるという事は、減収になります。また年度中に契約企業のお子さんをお預かりしたとしても、保育士不足により年度途中の雇用が難しい点です。

保育所運営の経費で大きな割合は人件費です。子どもの定員の空があれば保育士の雇用も減らす必要があります。入所対象の子どもがいたとしても、保育士がいなければ子どもを受け入れる事はできません。この対応が難しいのです。

最後に、東京都では完全に待機児童問題は解消されていませんが最近、企業主導型保育園の閉園が見られます。企業主導型保育園に限らず、東京都独自の『認証制度』の保育も同様に閉園が…。

閉園理由は、定員割れと保育士不足。企業主導型保育園の閉園理由は大半が「定員割れ」です。企業枠による定員割れの影響ですね。制度上の決め事とは言え、欠陥とでは?と言いたいところです。

今後の保育事業は今まで以上に厳しい内容と言わざるおえません。

  • コロナの影響で出産の見合わせ(更なる少子化)
  • 利用者(保護者)の保育施設へ多様化、利便性の要望

企業の方だと保育施設(箱型)の整備=儲かる…このような思考かと思いますが、このような思考はもうすでに終わったと思って良いと思います。

また、企業主導型保育園の全部がダメだと言う事ではありません。しっかりと企業主導型保育園保育の制度の中身を理解し、制度の趣旨にあった保育園運営をすれば安定した運営も可能です。

企業主導型保育園は、保育事業をメインで運営をする法人には合わず、どちらかと言えば保育事業以外の事業で運営している会社が従業員のお子さんを預かるために運営する方が適していると考えます。託児室?のようなイメージですね。

Follow me!