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1.評議員とは
評議員会は、評議員という人達が集まって構成される合議体で、法人運営の重要事項を決定する機関(団体)です。
…なんだか相変わらず難しい言い回しですが、要は法人(社会福祉法人等)の重要な事を決める人達(会)という事。
更に、社会福祉法人と評議員の関係は『委任』にあり、善管注意義務と損害賠償責任を負います。つまり、社会福祉法人から、その経営を任されかつ注意義務があり、仮に義務を怠ったりその法人に損害が発生した場合その責任を負うことになります。
また、評議員に似たような機関(団体)で『理事会』がありますが違いは以下の通り
〇評議員会… 法人の重要な事を決定するのが役割
〇理事会… 評議員会で決まった事項を「執行(実行、行動)」するのが役割
2.評議員会の決定事項
社会福祉法人の評議員会で決定する主な事項は以下の通り。どれもその法人に関する重要な事項ばかりです
(1)法人運営に関する事項
- 法人の定款変更
- 法人の解散
- 法人の吸収合併契約の承認
- 新設合併の承認
(2)理事等役員の選任・解任・報酬に関する事項
- 役員の選任、解任
- 監事の解任
- 役員及び評議員に対する報酬等の基準の決定
- 理事及び監事の報酬の決定
(3)財務・報告に関する事項
- 事業計画書及び収支予算書等の承認
- 事業報告・決算書類・財産目録の承認
- 基本財産の処分
- 残余財産の処分
(4)その他
- 役員等の責任の免除(全て・一部の免除、要全員の同意)
- 役員等の責任の免除(一部の免除)
- その他、法令又は法人の定款で定められた事項
3.評議員の資格(評議員になれる人)
評議員の役割は重要な事項を決定するため、その責任の重さを踏まえて、「社会福祉法人の適正な運営に必要な識見を有する者」から選任することとされています
では、「社会福祉法人の適正な運営に必要な識見を有する者」とはどんな人なのでしょうか?
厚生労働省の説明資料によれば、以下のとおりとなっています。
check!
識見を有する者とは、社会福祉法人で「社会福祉法人の適正な運営に必要な識見を有する者」として適正な手続により選任されている限り、制限を受けるものではない…
→ わかりやく解釈すると、選任される人が該当する人なのか否か、あまり厳格に考える必要はありません。
どちらかと言うと…
〇 評議員の役割としてしっかり行動ができる人(理事会に物事をハッキリ言える人)」
〇 評議員を選任する時、適正な手続き(法律に沿った公平な手続き)で選任していること
上記2点が重要であるとされています。
4.評議員の欠格事由(評議員になれない人)-1
以下の3つのグループそれぞれに該当する人は、評議員になる事はできません。
その1
- 法人
- 成年被後見人又は被保佐人
- 生活保護法、児童福祉法、老人福祉法、身体障害者福祉法又はこの法律の規定に違反して刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの人
- 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの人
その2
- 評議員は、役員又は当該社会福祉法人の職員を兼ねることができません。
⇨要は、その法人の役員(理事)や職員の人は、評議員になれません。
その3
評議員や役員と特殊な関係にある人の選任の制限
特定の評議員や役員(理事等)と特別な利害関係にある人は評議員になれません。なぜなら就任すると、その評議員は、社会福祉法人のためではなく、特定の評議員や役員のために意思決定をしてしまう恐れがあるからです。
ザックリ言うと、法人を私物化する恐れがあり、法人のの公益性が損なわれる可能性があるということ。
check!
特殊な関係にある人とは下記のような人達です。
- 評議員・役員の配偶者
- 評議員・役員の三親等内の親族
- 評議員・役員と「厚生労働省令で定める特殊な関係がある者」
※「厚生労働省令で定める特殊な関係がある者」の詳細は次を参照!
5.評議員の欠格事由(評議員になれない人)-2
厚生労働省令で定める特殊な関係がある人とは、下記のような人達です。
- 評議員・役員と事実婚状態の人
- 評議員・役員の使用人
- 評議員・役員に生計を維持されている人
- 上記1または3の配偶者
- 上記1から3の人の三親等以内の親族で、1から3の人と生計をひとつにする人
- 評議員・役員が、役員(非法人団体の代表者や管理人を含む)や業務執行社員を務める団体(社会福祉法人を除く)の役員、業務執行社員、職員
※ただし、評議員の総数の1/3を超えなければ、評議員になれます。 - 他の社会福祉法人の役員や職員
※他の社会福祉法人の評議員について、その総数の半数を超えて、評議員を選任するほうの社会福祉法人の評議員や役員が就任している場合に限ります。 - 次に掲げる団体の職員(国会議員や地方議会議員を除く)
- 国の機関
- 地方公共団体
- 独立行政法人
- 国立大学法人、大学共同利用機関法人
- 地方独立行政法人
- 特殊法人、認可法人
※9~14の、これらの団体の職員は、評議員への就任は禁止されていますが、役員への就任は禁止されていません。
6.評議員の人数
評議員の人数は、定款で定めた理事の人数以上の評議員を選任する必要があります。「理事の人数以上…」なので、理事の選任人数は最少でも6人と定められています。
よって、評議員は最少でも7人が必要となります。
7.評議員の選任、解任方法
(1)定款で選任方法を定める
評議員は、その法人で定めた定款により選任します。
※理事、理事会で都合の良い評議員が選任できるように、法人の定款で、『理事や理事会が評議員を選任する…』と規定することはできません。
(2)評議員選任、解任委員会を設置する
法人に評議員選任・解任委員会を置き、評議員の選任及び解任は、評議員選任・解任委員会において行います。
(3)評議員選任、解任委員会の運営方法
- 評議員選任・解任委員会は、監事○名、事務局員○名、外部委員○名の合計○名で構成します。
- 評議員選任・解任委員会の招集は、法人運営の状況を把握し、業務執行に関し責任を負う理事会において決定し、理事が行うことが適当である。
- 評議員の選任候補者の推薦及び解任の提案は、理事会が行います。
- 評議員選任・解任委員会の運営についての細則は、理事会において定める。
- 選任候補者の推薦及び解任の提案を行う場合、推薦した者が評議員として適任及び不適任と判断した理由を委員に説明しなければなりません。
- 評議員選任・解任委員会の決議は、委員の過半数が出席し、その過半数をもって行う。
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